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大体漫画とかアニメの感想を書いてます。こう、妄想が溢れそうになった時の受け皿としても活用。

いい歳した大人が泣かされる

姪っ子達に付き添って(もらって)映画ドラえもんのび太の月面探査記」を観てきました。

 

ここ数年、映画(大長編)ドラえもんの出来が非常に良い。
上から目線で恐縮なのですが、30作以上ある映画ドラえもんの中には正直なところ微妙だと思う作品もいくつかあります。
それが惜しいというのではなく、これだけの数の作品を同じ世界観で作っているわけですから、全てが名作なんていうのが無理な話。映画館を出ながら「うーん…」と首を捻るのもしょうがない事だと思っているのです。

しかしながら、ここんとこそれがない。毎回、「凄かった」「面白かった」と感慨に震え、時には涙をこらえたり(泣いたり)しているのです。
…と言いつつ、オリジナルへの思い入れが強過ぎて、新・日本誕生は観ていないのですが(苦笑)
少なくとも、「南極カチコチ大冒険」、「宝島」は手放しで絶賛できますし、今回の「月面探査記」も素晴らしかった。いやもう、ほんとに大人から子供まで楽しめる作品に仕上がっていたと思います。
(個人的には「宝島」の方が好きですが)

 

で、いくらか細かく感想を書いてみるのですが…。
…まず、「映画ドラえもん」を観るにあたって私が面白いと判断する最低条件があります。
それは脚本が面白いとか作画が良いとかではなく、「レギュラーメンバーの5人全員が活躍している事」。

毎回毎回魅力的なゲストキャラが登場するのは当然ですが、しかし「映画ドラえもん」は「あの5人が冒険をする」事に意義があるのです。なのにのび太ドラえもん以外には特にスポットライトが当たる事もなく、その個性を生かした見せ場もない…なんて話では本末転倒甚だしい。
しずかちゃんは優しく癒しキャラでお風呂に入らなければならないし、スネ夫は小心者だけど勇気を見せるし、そしてジャイアンは劇場版のジャイアンでなければならないのです。

 

そういう意味で、今回の3人は完璧に見せ場を作ってくれました。
特にジャイアンの激高は素晴らしかった。声優さんの演技・演出も素晴らしかったですが、そこに至るまでの段階の踏み方が実に素晴らしい。…まだ11歳の少年が「友達を救えない悔しさ」に吠える、ってのは物凄い事だと思うんですが、それが出来るのがジャイアンであるし、「ドラえもん」という世界なんだなぁと。

 

また、上手いと思ったのはスネ夫の心理描写。
本人や他の誰かに語らせて説明するのではなく、表情と演出で彼の気持ちを描き、そこから行動に繋げているのでとても自然。テンポを乱さずサクサク話が進みます。…というか、「そういうの」ってアレコレ言葉で触れるのは無粋やん?

 

もちろん、のび太も大活躍。いやむしろ、この子の特異点っぷりってどういう事なんだろう。いろんな事件が彼のところで収束する感じが凄い。
そういうメタ的視点はさておいても、のび太の言葉がルカ達に染み込んでいく感じに嫌味がないんですよねぇ。「のび太のくせに」かなり重要なポイントを突く発言や行動があるんですが、「あぁ、そうだよなぁ」って納得させられます。
長年培った「そういうキャラ」という前提故なのか…どちらかと言うと声優さんの演技力のような気がします。

 

今回の脚本もドラえもん(というかひみつ道具)は万能ではなく、ギミックとして実に上手く活用されてた印象。…重大なキーアイテムである「異説クラブメンバーバッジ」の概念が難解ではありますが(苦笑
劇場を出る時、すれ違ったお父さんが「異説と定説っていうのは…」と息子さんに説明してたのが大変だなぁと思いつつ、微笑ましくも思えたものでした。

 

…というか、正直今回はゲストキャラのルカが強過ぎた。
謎のスパッツ美少年だけで強烈なのにのび太との交流、やり取りが実に……尊い。中盤のあのシーンはまんまと泣かされましたねぇ…。
…いやもうアレですけど…最後のアレは、ホント……腐る(爆笑)
特定のおねーさんとかはたまらないんじゃないでしょうか、アレ。

ルカだけじゃなく、姉のルナ、キーパーソンのアルといい今回のゲストキャラは誰もキャラが立っててほんとに素晴らしかったですね。
特にルナさんはサービスシーンもあって(黙れ腐


そんなわけで1時間50分、ずっと楽しい映画でした。
姪っ子達もずっと食い入るように観てましたから、どういう観方をしてもきっと面白いんだと思います。
ほんとオススメなのでぜひ皆様も。


余談。
同席してた妹が鑑賞後、「のび太の部屋の間取りってあんなんだったっけ?」「学校ってあんなに広かった?」とか言いまして。
…非常によくわかる疑問ではあるのだが、その観方は映画鑑賞の魔道だからおすすめしないな、ぼかぁ(すでに堕ちてる身