Ceramic moon Plastic stars

大体漫画とかアニメの感想を書いてます。こう、妄想が溢れそうになった時の受け皿としても活用。

言いたいことは

皆、「劇場版シティハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」を観に行ってもらいたい…!!

 

一応、「劇場版シティハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」を観た感想を書くつもりなのですが。
まず最初に出てくるのがこれ(↑)なんですよ。

 

いや、そう思うのならば、たくさんの人が観たくなるようなレビューを書けばいいのですが。書けばいいのですがー…。

 

残念ながら手放しで「絶対後悔しないから観るべきだ」とは言えないのです。
なんせ、今私自身が「…………」って心境にあるから。

 

誤解のないように言いますが、面白いです(全く問題がないとは言いませんが)。幾つものシーン、セリフ、アクションがツボにハマりました。「コレだよ、コレコレ」と思ったのは嘘じゃない。
でも。ただ兎に角、観終わった時に「…………」って感じになっちゃう。どうしても。

 

そう思う理由は、「今作がテレビ版や前作(新宿プライベートアイズ)とは違うから」。これに尽きます。

 

(事前情報を全く仕入れず劇場に来てしまった私が悪いのかもしれませんが)
あくまで持論ですけども、私を含めたファンが期待するのは「あの」シティハンターです。しかも、前作では見事にファンの期待に応えてみせたのですから、今回もそれを期待しちゃう。テンプレ、揺るがないお約束を楽しむためにシティハンターを観るといっても過言ではない(…言い過ぎたかも)。

良くも悪くも前作は「シティハンター復活!」という作品であり、ある意味ボーナストラック的な存在でした。
テレビ版の尺を伸ばし、劇場版規模の事件を盛り込み、Get Wildで引き…という、「あの頃観てたシティハンターをもう一度(より豪華に)!」コンセプトで作られ、そしてその通りの出来に仕上がったわけです。
そしてそれは当時のファンが正しく待ち望んだものであり、期待に応えきったと言えるでしょう。

 

で。本作ですが。

 

「そうではない」んですよね。結論としては。

 

テレビ版をもう一度描き直しているわけではないのです。シティハンターという物語を先に進め、そして終わらせるための作品。
「それに何か問題が?」と思われるかもしれませんが、これは大きな事です。
少なくともテレビ版や前作のような作品を期待して観るとかなりのギャップを感じます。実際に感じました。
あえて言うならば、期待を裏切られるのです。…決して悪い事とは言えないのですけれど。

でも、決して出来が悪いわけじゃない。キャラの解釈が間違ってるわけでもない。多少のツッコミどころはあっても「あぁ良かったなぁ」って総じて思っているから…最後に残る気持ちが「…………」ってモニョモニョしたものになってしまうのです。

それを払拭するために。これを昇華するための手段、手掛かりとして。私の感想は冒頭の「願い」になってしまうのでした。

 

…さて。
気を取り直して、ネタバレなしの範囲での感想など。

 

とりあえず初っ端で爆笑します(笑)
色々やり過ぎなんよ…(苦笑)

 

レギュラーのキャラクターは抜群の安定感。いつも通りの変わらない姿を見せてくれます。…いつも通り過ぎて、作中の美紀のとあるセリフが刺さりまくるわけですけれども(笑)
声優陣もまだ頑張っていただけています。

 

槇村兄、やっぱいいなぁ。凡庸に見えて有能、信頼のおける相棒感が刺さる刺さる。
…どっかの絵師さん、ヨレヨレモードじゃなくて、三つ揃え着せたリョウと槇村の絵とか描かれたりしません?

 

そしてゲストキャラ。
メインヒロインのアンジーは…ちょっと凄いですね。例によって秘密を抱えているわけですけれども、この秘密自体は割とよく見かける設定のように感じます。…が、意外とシティハンターでは斬新。しかも何気に凄いと思ったのは「ちゃんとそういう風にルックスを描いている」という点。実写映画ならともかく多くのアニメだとこの辺は濁しているというか、「そんな風に見えない」ギャップとして描かれているように思うので驚きました。…そこを呑み込んでもっこりしているリョウってホントブレないっていうか…(笑)

 

敵側キャラの二人、ピラルクーとバラクーダは…キャラが立ち過ぎてて困ります(苦笑)
単なる職業軍人でもなく、ヒャッハーでもない。それぞれに思いがあって、それぞれを思っている事がしっかりと描かれていて…切なかった。
単なる心情表現、セリフだけで表現するのではなく、それぞれの拘りや生活を感じさせる描写で思い入れを作ってるのがホント上手い。
…ちょっと仲良過ぎるとも思ったけれど(笑)

あと、露骨ではあるけど、ラーメン食べたくなります(笑)

 

絵関係はおおむね及第点。
アクションは目まぐるしく動きつつ、かつ動きを見失わないメリハリあり。
特に足が長くスタイリッシュなキャラが繰り出す蹴りは惚れ惚れします。…バラクーダはそれを振り切って異形化してたりはするけれども(笑)
正直、キャラの等身が高めなのは(他アニメと比較して)一瞬違和感を覚えなくもないのですが。段々慣れてくるし、やはりこのスタイルじゃないとシティハンターではないです。カッコいいんだよなぁ…。このスタイルの良さがギャグパート、というよりリョウのスケベモーションとのギャップを生んでて、そこもポイント高い。

 

ただ、流石にセクハラモーションが多い分、リョウのフリ⇒香のツッコミまでのタメが長いのは気になってきます。
実際にセクハラすると色々マズイのは分かっているので、結局寸止めになるのであればテンポよくサクッとハンマー落として欲しいなぁと。
だんだんリョウが香のツッコミ待ちしてるように見えてくるんですよねぇ(実際そうなんじゃないかなぁとも思うんですが)。

 

閑話休題
人物のアクションだけでなくカーチェイスもいい。CGについての好みは分かれるかと思いますが、スピード感、クラッシュする感じは非常に良かったです。
OPでも思いましたが、やっぱりリョウたちのミニが市街を駆け抜けていくイメージ、カッコいいというよりもはや「良い」んですよね。街の雰囲気と軽快さを演出しているというか。

 

あとエフェクト。
爆発、粉砕、破裂…これでもかってレベルで派手。まさに劇場版です。…つくづく、この後警視庁はどう処理してんだろうなぁ…と思うと下山田氏の苦労にもニッコリです(ニッコリなのか)。
特に今回、香が絡んでるから…(この辺分かる人には分かるかと(笑))。

 

そうそう、香のアレコレや海坊主のアレコレ、小ネタが散りばめられ回収されてるの、ホントにいいですね。原作愛に溢れているというか。
前作では触れられてなかった辺りが補完されてて満足満足。


ただ、脚本については正直なところ微妙。
本線、メインテーマについてはブレていません。シーンごと、キャラごとの描写もしっかりと描かれています。
しかし、それぞれの繋ぎ方に疑問を感じる点があったり、行動に説得力がない事があると感じました。
そうしないと話が進まないというのはあるかもしれませんが、そこんとも上手くやってほしかったなぁ…。


音楽も非常に良かったです(あえてシンプルな感想)。


そんなわけで、シティハンター好きな人は是非観よう!
冒頭に述べた色々があって、絶対損はしない、とは言えないんですが、少なくとも私は観て良かったと思ったので!!