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大体漫画とかアニメの感想を書いてます。こう、妄想が溢れそうになった時の受け皿としても活用。

劇場版シティハンターの凄いとこと難しいところ(ネタバレあり感想)

「劇場版シティハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」についてネタバレありで語ります。
ネタバレされたくない方は即お戻り下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思うに、劇場版シティハンターの凄いとこと難しいところって、「新宿プライベートアイズを成功させてしまった」ってとこにあるんじゃないかと。

 

過去作のリバイバルでありながら、見事にオリジナルを現代に蘇らせ、かつ高評価を得る事ができた。そして、新作の政策が決定。つまり、ファンが制作サイドを動かした、ある意味幸せな作品と言えるわけです。
…が、それは同時に、「天使の涙」にも同じハードルを背負わせてしまっている。つまり、「売れなければ次はない」という綱渡り、制作と評価の自転車操業
ある意味それは正しい経営判断であり、制作スタイルだと思いますが、結果として「劇場版シティハンター 最終章 #1」と謳えなくなってしまった。2部作、または3部作ですよ、と事前に周知できないがために、視聴者の求めているものとのギャップを生じてしまいました。

 

ぶっちゃけた話、「『Get Wild』が流れた瞬間、事件が決着していない」って状況は違和感ありまくりなわけですよ(舞台挨拶で伊倉さん自ら仰ってましたけれども)。
私はこの話で海原と決着がつくんだとばかり思ってましたから。過去の因縁との話がついに…って心づもりで観てたのに、「final chapter begins.」だもの! 続くんかい!!って心境だよ!!
正直、「リョウ、何故撃たない!!」って気分だったよ!!!

…いや、そりゃ分かってますよ。あそこで撃ったら因縁も何もあったもんじゃないっていうのは。監督が仰る「海原との話は劇場版1本だけで終わるものじゃない」というのも凄く分かる。
ただ、なんかこうこの「未消化感」がどうしても「Get Wild」との食い合わせ悪くて…うん。
この辺、先の感想で書いてますが、「プライベートアイズ」までのテンプレを期待してた、縛られていたが故の印象だとは思うのですが。

だからこそ、「最終章 #1」って言っておいてくれれば、2部作、3部作なんだよ、って教えてくれていれば、「あぁ、面白かった…次回の海原の活躍が楽しみ過ぎる…!!」ってテンション上げられたのに、って思わずにいられないわけです。


というわけで、皆「劇場版シティハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」観に行こう…!!(切実)

 

あと細々した感想です。

 

そう(↑)は言いましたけれども。

 

OPでココロ鷲摑みされまくったんですよ。
「Whatever Comes」のイントロが完璧過ぎて。

私、TM NETWORKが好きでして。どのくらい好きかというと、TMNよりTM NETWORKが好きで(比較したら、の話ですけど)、TK後のTKナイズされたTMはちょっと合わない…っていうめんどくさい感じ、くらい(あくまでも個人の好みの問題です。ご了承ください)。拗らせている事は十分自覚していますが、だからこそ過剰な期待はしないのです。
そんな私が「コレだ! コレだよコレ!!」って鳥肌がぞわっと。「シティハンターのOPとしてのTM」はまさにコレだ! って感じたのでした。なんか疾走感とか沸き立ってくるテンションとかが解釈一致というか。
いや、正直音楽理論も理屈も分からないんですけど、魂がそう感じちゃったんだからしょうがない。観終わった後、即物販でCD買っちゃったよね…。
いや、ホント、本筋とは関係なくて申し訳ないんだけど、TMにこの曲作らせたってだけでもう…この映画に感謝せざるを得ないんです…(めんどくせぇ…)。

 

さらにTM絡みですが、作中曲が全てTMというのも…個人的にはすっごい嬉しいんだけど、TMに興味ないファンからするとどうなのかな、って不安になったり。
特に前作がオリジナル音源のオールキャスト仕様という往年のファンに刺さりまくりの構成でしたから、それと比較すると「他のアーティストの曲も!!」って思われてる人多かったんじゃないかなぁ…。
…皆気に入ってくれてるといいんですけど。


好きなシーンですが、まずはリョウがボッコボコにされるとこでしょうか。
基本的にリョウは無敵のスイーパーです。中盤、アンジーが押され気味だったバラクーダ(エンジェルダスト入り)を余裕で圧倒する無双っぷりを演出します(カッコいい)。
そんな彼が優位を取られ負傷し、血を流し、追いつめられる。もちろん、ADMを得て人間を超えてしまったアンジーの戦闘能力の高さに苦戦している事もあるのですが、更には「アンジーを殺したくない」という逡巡により自らが勝つための選択をとれないというのも非常にポイントが高い。単に技術・身体能力の差異だけで不利を演出するのではない、美しい追い詰め方だと言えます。

 

ぶっちゃけ、額を血に染めながら決意を決め、垂直落下するシーン、マジでカッコいいですよね…。
爪先で「タンッ」って地を叩くモーションがまた最小の動きで、かつ決定的なリョウの強さを感じさせる気がします。

 

あと、基本的にパイソンを片手で撃つの、すっごい絵になる…。これこそ冴羽リョウって感じですわぁ。
アンジーがほぼ同じスタイルで戦っているからこそリョウがその上をいっているのがわかるのは、皮肉だけど分かりやすくて良かったなぁ、と。

 

それからアクション関係で良かったのは、香のトラップ。
明らかに殺意高過ぎなんだけど、その容赦のなさと凌いでいくリョウの動きが凄く楽しい。

 

香と言えば、今回はちゃんと「ぶっぱなし⇒誤射⇒被害拡大⇒でも結果的に制圧」シーンがあって満足(前回なかったので)。
「戦闘時には何もできない」と伊倉さんが仰ってましたが、そう見えてしっかりと活躍させ、個性も発揮できるのがいいんですよね。そして何より、香にはリョウの背中を押すという仕事があるのですから。

 

逆に海坊主はもうちょい活躍してもよかったかなぁ。ほとんど解説役だったような。リョウ達の理解者という立場はもちろん大切なんだけど、シティハンターと並び立つファルコンというスイーパーの活躍が見たかったです。
港でバズーカ乱射したり、トラップ仕掛けまくったりできたと思うんだけどなぁ。
あと、ピラルクーを逃がしてるのはなんでやねん?

 

アンジーについては、実に安定しないというか。
明らかに訳ありなのは分かってるんだけど、その隠ぺいが甘いし、行動も行き当たりばったり感が強い。これでリョウを倒すつもりだったのか…と思ってしまいます。
メンタリティが子供なのだ、と言われれば何となく腑に落ちはするのですが、ウェットワークスとしては行動に説得力がないなぁ、と。

その分、リョウ…というか、香に絆されていく感じは良く描けていたと思います。
香の善意に触れるたび、自分の望みとの板挟みがあったのでしょう。…ただ、彼女は本当に裏社会の人間であり、それまでの業もあって完全に許されることはなかったんだなぁ、と。…脚本的に彼女に救いを用意できなかったと見る事もできますが。
あと、ADM投与後のシーンがちょっと長かったというのが本音。
リョウのピンチを演出しなければならないのは分かるのですが、それにしても銃を使わずに体術で圧倒するシーンばかりなのはいかがなものかと。殺意とやってる事のバランスが取れない。
あと単純にアンジーの覚醒⇒忘我を繰り返されるのが辛かった…(そこが肝ではあろうけれども)。

 

いずれにしても沢城さんの演技は流石と言わざるを得ません。バラクーダに対して戦意を告げる時の歴戦の女戦士感が最高にカッコよかった。

 

あと、彼女のスマッシュヒットは「何故香さんにもっこりしないのですか?」だと思う(笑)

 

ピラルクーとバラクーダは、ぶっちゃけ仲良過ぎる。薄い本要員感が…もう。
頼れる兄貴とやんちゃな弟ムーブが凄過ぎるのよ…。
特にバラクーダのヒャッハーな容姿に反して憎めない悪ガキ具合が絶妙です。
感情的に振る舞いながら、ピラルクーには絶大な信頼を置いているし、アンジーに対しても嫉妬を抱きながらどこか心配もしている。
そんな二人に挟まれてピラルクーも胃が痛かっただろうなぁ…。

 

3人にはどんな形ででもいいから生き残ってほしかったです。
ただ、今回のテーマ的にラスボスが控えていましたし、更にエンジェルダスト・ADMの非人道性を描かないわけにもいかなかったので、この結末は避けえなかったのかもしれませんが…。

 

でも、戦闘ヘリ、パイソンで一撃で墜とせたんなら…って思わずにはいられない。

 

若干ピラルクーは貧乏くじ引いてる印象ですが、バラクーダは戦闘シーンも多く、また、バイクアクションもこなしてて活躍してたイメージありますね。個人的には橋梁を翔け登っていくシーンが結構好き。

 

で。海原。
…ホントなぁ…現状、マジ外道って感じにしかならないので、続編必須なんですよね。
リョウに対する執着は分からんではないのだけど、もうちょいアンジーにさぁ…。全ては戦争の歪みが悪いのだ、という事かもしれんけれども。
墓のシーンはカッコいいけど、流石に狂気だわぁ。

 

あと単純にあのダンディさはカッコいい。良い老け方してんだよなぁ…。

 


あと、お台場の「アンタだけは…落とす!!」はアリだと思います。よくあの展開思いついたな、って(笑)

 

そんなこんなで殴り書き感あふれる感想ですが、ひとまずこんなものかなと。
兎に角次回作期待、期待するしかないんだよぅ…。