Ceramic moon Plastic stars

大体漫画とかアニメの感想を書いてます。こう、妄想が溢れそうになった時の受け皿としても活用。

上質のプロローグ

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」観てきました。

以下感想です

 

正直、期待し過ぎない心構えだったんですが(原作を考えればお察しいただけるかと)、予想以上に良い出来でした。


とにかく絵が綺麗。
キャラクターが美形、とかそういう事でなく(もちろんそれもあるけど)、風景や構図を含めて絵の作り方が洗練されているというか、カッコいいとか綺麗、っていう印象になるのです。


南国の陽射しの強さ、潮風の爽やかなだけでない微妙にべたつく感じを何となく覚える錯覚。
高級ホテルやシャトルのハイセンスな風景を描きながら、隣にはジャンクが並び、朽ちた民家の間の路地を歩くハサウェイの姿が。
説明なしで「U.C.0105の地球」がどういうものか分かる(気がしました)。

 

同様に、人々の暮らしや考え方がどういうものか、それをハサウェイがどう感じているか、それを一切説明さず、視聴者に悟らせるように描写してるのが上手い。

特に、自分が呼び込んだ「酷い事」をその場で感じ、呟くシーンは何とも言えないものがありました。

 

頭上でMSが自分達など構うことなく火花を散らし、避難したビルを踏みつぶし、噴射炎で通りを薙ぎ払う…これまでにない臨場感で手に汗。これはホントに「酷い事」だよ。
なるほど、地球・地上で市外戦をやるなら、こういう描写にするんだなぁ…。
同時にメッサーの挙動が実にカッコよく、空中でも地上でも見栄えがしました。ある意味、モノアイって左右に動くだけで「意思」を感じさせるので凄い。
ボロボロになりながらも、まさに奮戦する当たりがカッコよかった…。

 

個人的にギギはエロいとは思ったんですけど、それ以上に何か感じるものはなかったかなぁ、と。いや、徹頭徹尾フェティッシュというか、気を惹かずにはいられない言動ばかりなので…逆に落差が無くて惹き込まれなかったというか(めんどくさい

 

好きなキャラはエメとガウマンかなぁ。


そんなわけで新たなガンダムの序章としては上々過ぎる作品でした。
ガンダムらしくない一面を見せながら、宇宙世紀の間隙を埋める重要な物語になりそうです。
ファンなら観て損なし、かとー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、以下ネタバレ込みの感想。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2回観るか、と問われると観ないなぁっていう感じ。

面白かったのは確かに面白かった…のですが、刺さらなかったんですよねぇ。
これはもう好みの問題だと思うんですが。

 

まず、間違いなくダバオ市街戦は見所満載。
人の営みを破壊しながら、それぞれの命を獲る為にぶつかり合う巨人を見上げる感じ。いつ踏みつぶされ、爆風になぎ倒されるか分からない恐怖。MSのコクピットから見れば微かなスパークが、地上から見れば一瞬で我が身を焼き尽くす巨大な炎に見えるという斬新な感じ。
更にメッサーの四肢を動かして牽制、ライフル斉射…あくまでシールドを構えて直撃を避け堅実に挙動してるのがよく分かります。
結果的には撃墜されてましたが、単騎で3機を墜としてるわけですから、確かにケネスの𠮟責は正しい。ガウマン頑張った。…3部まで生き残ってるかなぁ、どうかなぁ。


で。

 

対して本来見せ場であるところのクスィーVSペーネロペーが今一つ。
夜間戦闘で機体が見づらかった事もあるのですが、そもそも完全空中ドッグファイトが好みじゃなくて。


もう、それをやっちゃうんならMSじゃなくてもよくね? って思っちゃうんですよね…。バルキリーどころか、普通に戦闘機でいいような(もはや主人公機&ライバル機全否定)。


高速機動そのものはカッコいいと思うんですが、それを人型兵器でやるのであれば、せめて手足を動かして挙動制御してほしかったと我儘を。
特にクスィーは手のでかさが特徴なのですから、もっと手を振る・突き出す…などなど、表情を出せたんじゃないかと思ってしまいます。
なので、サーベルで鍔迫り合いに持ち込んだ時はちょっと興奮しました(その後動かなかったけど)。

 

空中受領からカーゴを飛び出すまでの一連の流れは凄くかっこよかっただけに残念。
あ、あとファンネルミサイルのエフェクトと見せ方は好きです。効果音は…ちょっとくぐもってる感じがダサ…いや、味があると思いますが、ペーネロペーを追いかけるところを横から見せてて凄く良かった。


シナリオとか。
ホントに序章という事でしょうから、舞台背景やキャラクターをじっくりと描いた、というのは理解が出来ます。そしてドラマとしての完成度は高かった、とも。
しかし、キャラクターに感情移入が出来なかったんですよねぇ…。ある意味リアルに「人」を描いていたからこそ、内面なんてそうそう簡単に見抜けやしない、ということかもしれませんが。

 

ハサウェイがテロという行為に手を染めながら、自らが災厄を引き起こし、罪のない人々を苦しめている事に思い悩んでいる事を巧みに描いていたのは間違いない。
ですが、どうにも熱量が無い、のですよね。彼を矛盾した行動に走らせるものが何なのか、彼の背中を押すものが何なのか、が分からない。
地球環境への危惧? かつての過ちへの後悔? それとも過去からの強迫観念?
…いずれにせよ、「間違っている」と言われても引き返せない行為を止められない理由としては弱いように思えました。

2部・3部で彼の事情や行動がより詳細に描かれれば、ようやくハサウェイを理解する事ができ共感・感情移入できるのかもしれませんが。

 

どちらかと言えば、本来ヒロインであるはずのギギが絡む前半より、マフティーメンバーと合流した後のマフティーメンバー達とやり取りをしている終盤の方が楽しい・面白い。
謎めいた美女より一癖も二癖もある愚連隊の方が魅力的、というのも困ったものですが、腹の探り合いをしなくてよくなった分、会話のテンポが良くなってるのは確かかと(この辺も好みの問題、でしょうね)。


そんなわけで良くできた映画であることは間違いないのですが、私の趣味ではなかった、という第1部。
2部以降で熱い物語に化けてくれる事を願っています。
…あと、出来れば結末をどうにか…(と思うけど、これは無理だろうなぁ…)。


当面の問題は、あっさり墜とされたペーネロペーどうするのかな、っていう話ですけども(苦笑