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大体漫画とかアニメの感想を書いてます。こう、妄想が溢れそうになった時の受け皿としても活用。

冒険は面白い!

ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り」を観てきました。

 

この映画の悪いところ。

 

公式グッズはおろか、パンフレットすらない!! 売り切れじゃなくてそもそも作ってない!!!
いやホント興業元は何考えてんだ(何も考えてないのか?)。こんなに面白い、しかも設定が気になる映画のパンフや資料を売らないとかあり得ない。
今からでも遅くないから作って販売してよー。どうせもう一回吹き替え版観に行くからさぁー。


というわけで。


めちゃくちゃ面白かったです。


私は原作(ダンジョンズ&ドラゴンズ)については、TRPG(ひいてはRPG)の元祖とか10フィート棒とかエルフがミニスカでスライディングとか、その程度の知識しか持ち合わせておらず、実際にプレイしたこともありません。


でも、全く問題なく楽しめたわけです。そのくらいエンタメとしての完成度が凄い。
もちろん、理解できない設定や単語がありましたので、原作を知っている人は更に楽しめるのだと思いますが、裏を返せば何も知らない人間がこれほど楽しめるわけですから、原作ゲームへの導線を引く意味ではこれ以上ないPR映画だとも言えます。

 

ですがこの映画が凄いのは、原作を知らなくても面白い=原作要素以外で面白さを作り出している、ではなく、原作を踏襲して原作の雰囲気を最大限表現して面白くしている、というところです。
いわゆる、原作もの作品によくある原作無視の脚本、世界観、展開はない、という事。

 

…原作を知らないはずの私が何故そう言えるか?

 

それは、この映画がRPGとしての面白さ、楽しさをこれでもかと感じさせるから。
ファンタジー映画やアクション映画ではない、「ゲームの映画化としての面白さ」があるのです。

 

具体的には。
最終的な目的を達成するために色んな策を考え、策を実行するために仲間を集め、冒険をし、少しずつクエストを達成しながら目的に近づいていく感じ。
知っている場所から知らない場所へ旅をし、一風変わった景色に驚く。
戦闘中は武器を振りながら、間合いを取り、詰める。魔法は手を突き出して使うのか。それとも振り上げるのか。支援するならどんな事をするのか。
それぞれのキャラクターには信念や好悪があって、それに基づいて動き、協力し、時には諍いを起こす。嫌味も言うし、冗談も言う。

 

そんなTRPGだったりコンピューターRPGだったりをプレイしながら脳内で描いていた、「あー、そうそう、こんな感じ。こんな風に活躍してるんだよねぇ」という光景を下手な足し算も、過剰な引き算もせず、的確に描写されているので没入感が凄い事になるのです。
原作ゲームをやったことがなくても、RPGを楽しんだ人にはツボに嵌る感覚だと思います。


と。ここまではRPG好きな人間のツボですが、ゲームに興味がない人でも十分に楽しめる、映画としての面白さにもあふれています。

 

いわゆるファンタジーの世界ではありますが、あまり薄暗さはなく、中世の石造りの街並みや自然の美しさ、闇の深さが自然に感じられる画面の作り。
主に魔法の効果として使われているCGエフェクトが決して派手ではなく、どこか説得力をもって画面から迫ってきます。


アクションもテンポよくスピーディ。戦闘シーンの殺陣も良いですが、走る、跳ぶ、落ちる、といった冒険アクションもスリリングでカッコいい。
普通に殺陣としてカッコいいのは聖騎士・ゼンクなんですが(ホントに強い)、女戦士・ホルガの殺陣は単純に強いっていうだけじゃなくて、色んなアイテムや武器を使いこなして敵を倒していく、捌くっていうのが面白いです。蛮族感も強い(笑)
あとドルイド・ドリックは変身能力を生かしたアクロバティックな動きが凄くいい。敵に追われながらギリギリのところを避けて逃げるところはホント冷や冷やしつつ見てました。外見含めて最推し。
ソーサラー・サイモンの魔法を使うモーションもかっこよかったなぁ。つい真似したくなる感じ(中二病

 

そう、どのキャラも個性に溢れていてやり取りが面白いんです。
それぞれどこか劣等感を抱えていて、それをどうにかしたいと思っている。それらの葛藤や解決のため、凸凹パーティは力を合わせ、仲間になっていく…これがまさに冒険の醍醐味。
あと、ちょくちょく挟まれるコメディ要素に吹き出してしまう。
良い感じに噛み合わない、失敗する。皆一生懸命まじめにやってるからこそ、そういうちょっとしたことが笑いに繋がる、っていうのはまさに良質なコメディだといえるのではないでしょうか。

 

そんなわけで映画としても面白い。ゲームファンならもっと面白い。原作ゲームやったことあるならもっともっと面白い…素晴らしい映画でした。絶対観て損しない名作だと思います。

…これであとはパンフレットがあればなぁ…。