Ceramic moon Plastic stars

大体漫画とかアニメの感想を書いてます。こう、妄想が溢れそうになった時の受け皿としても活用。

妹がオタみたいなこと言い出した

「この映画に出会えて、ホントありがとうって感じ!」
「…ぉ、ぉぅ…」

 

「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」を観てきました。妹さん、姪っ子2人と一緒に(隠れ蓑とかいうな。私は一人で映画見れる人種だ!!)

 

妹さんは漫画読むし、姪っ子達の影響もあってアニメも観なくはないのですが、いわゆるオタではありません。…でした。
もちろん私はオタク。ですが、幸いその辺については当たらず触らずという立場をとっていただいておりまして、姪っ子達に「おじさんは可哀想な人だからそっとしておいてあげて」と真綿で締めるように拒絶されたりはしておりません。ていうか私の部屋に入ってこないでくれ。寿命が縮む。

 

閑話休題

 

それが突然どうした事か。あっさり「〇〇年の人生において最高の映画(本人の名誉のため数字は伏せる)」「こんなに泣いた作品はない」「もう何を言っても言葉が追い付かない」などとテンション高めで言い放つ始末。
真正のオタとしては「wwww語彙www力wwwwww」などと返したくなるところですが、家族的社会的ペルソナもあるのでそこはぐっと我慢します…というより、そんなトーク力(?)がない。
その結果、冒頭の若干引いたリアクションを取らざるを得なくなったわけです。…身内が突然オタ化するとこうまで戸惑うものなのか…。…いや、オタと言うにはまだ…(何らかの葛藤)

 

更に閑話休題

 

感想としましては。

「最高…最高だ…」と心中で連呼しながら滂沱したという事実。

 

いやもう…最高かよと。たまらんわー凄すぎるわー。もうね、炭治郎がガーッと盛り上がるとことか強いんですよ。最高かよと。
当然煉獄さんも強過ぎてたまらんのですよ。好き。兄貴キャラとして極まり過ぎ(語彙力語彙力

 

(深呼吸)
…いやぁ…ぶっちゃけ、原作全部読んでますし、話の筋は重々承知なのですよね。誰がどうなるか、どこがクライマックスなのかもわかりきってる。ネタバレ上等なわけですよ。
なのに、まんまと、「あああああ…あああああ…」とか心中(略)。不織布マスクがビッタビタなんですわ。何なのこの圧倒的な訴求力。

珍しくソロじゃなかったもんで、上映後、デバフされまくった語彙力で妹さんと討議した結論としましては、「絵がキレイ」「超動く」「音楽が神」「声優が激熱」…「そりゃアニメだしな」と今ならツッコミ入れられるものでした。だが間違っていない。

 

個人的に映画・アニメとして見た「無限列車編」で一番強いのは、「声優さんの演技力」。
これはホントに漫画を読んだ時に脳内再生した声のイメージを圧倒しましたね。
漫画は漫画で色々と思う事がありましたけども、映画ではキャラの声に乗せて、余りにも多くの、強い感情が叩きつけられてきたように思います。改めて、「あぁそうか、あの時、炭治郎はこんな風に…」「煉獄さん…」と悟ったり、新たな思い入れの扉が開いたり。
今更言うのもなんですが、声優さんすげぇー。

 

更に言うと演出が良かった。間の取り方、構図。タメが効いてるというか。くるぞくるぞ、って思ってるところに間違いなく熱い衝撃がやってくる、という安心感と期待を叶えられる心地よさ。

 

何気にギャグパートの落とし方も良かったですね。…いや……炭治郎の「無意識」の後にアレは…うん…笑ったけどw

 

そんなこんなで大満足でした、「鬼滅の刃」。妹さんほど素直に「ありがとう」とは言えないけど、それでも観て良かったと思える作品です。

 

なんかね…昼ごはんを買いに入った□ーソンで思わず涙目になっちゃうくらい(^_^;

事前の予習はやった方がいいですが、観てない人も是非観てください!!

 

↓以下ネタバレ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これ、無限列車のとこがすっごくもったいないなぁと思ったりもするわけですよ。
何気に凄い完成度というか、厭夢倒すとこまでの流れで十二分に長編として成立しうるカタルシスや葛藤、萌えが盛り込まれているわけで。
特に炭治郎の「家族を侮辱するなぁぁぁ!!!」とか最高じゃないですか(語彙力)。涙を流しながら切り捨ててきたものを、それでも大切に、大事にして怒る。何て主人公!!
精神攻撃はバトルものの常ではありますが、ここまで切ない、そして熱い描写はなかなかないように思いますね。六太の「おいてかないで!!」はもう…泣けましたわ。

 

あと、竈門家、皆が皆、ツラが良過ぎて困るw
無残への怒りが更に強まりますなぁ(なんか…

 

今回、どうしても善逸が割を食ってしまってるんですが、その分伊之助が大活躍。炭治郎とのコンビネーション(動き的にもやり取り的にも)が全くずれてなくて気持ちいい。
あと感情表現という点で分かりやすいので、色々と内に籠ってしまいそうな葛藤を表現してくれて非常に助かる。
姪っ子達には「アイツ、助けなくても良いと思う!」が大ウケでした(妹がたしなめてはいたけども)。
猪突猛進・脳筋の伊之助が炭治郎を傷つけた車掌を憎む、という単純だけどニヤニヤしちゃう描写が実にたまりません。

当然、ラストの涙も、彼らしい、他の誰とも違う悔しさ・悲しさを見せていて…いいなぁと。

 

厭夢の体内と化した列車内の戦闘は…グロいの一言なんですが、姪っ子達が目を伏せてたっていう表現もすっかり慣れちゃってる自分に気づいて苦笑い。こういうの、一部界隈では定番っていうか序の口なんだよなぁ…桑原桑原。
漫画ではなかなか感じられなかった「高さ」があって非常によかったかと。

 

あ、何気にアニメオリジナルの演出で上手いと思ったのは、「炭治郎の優しさ」の表現。
非常に無理なく、そして美しく表現できていましたねぇ。白眉の出来かと。……それに比べて善逸の無意識よw 割と本気で怖いよ、アレw

 

と…列車の描写、風景の速度感、閉鎖空間での死闘、200人もの人質…スリルとアクションが目いっぱい詰まった、ハリウッドアクションにも匹敵する無限列車……。

 

…を。
全部前振りにしちゃう煉獄さんがホント酷いw

 

もちろん、厭夢を倒すまでの流れが軽いわけではない。ただ、それより何より煉獄さんが凄過ぎるだけなのですわ。

 

いやもう…ホントに何なのこの人。
メタ的に言って活躍したのは、たかだか漫画1巻分、この映画にしたって途中ちょこちょこ、最後にドカン。作中時間で言ったら日暮れから夜明けまでの長くても10時間程度ですわ。
それなのに、それなのに圧倒的な存在感。キャラ力。訴えてくる力が凄過ぎる。
人の魅力というのは、過ごした時間で語られるものではないんでしょうねぇ…としみじみ思います(いや、そんなに冷静な心境ではないがw)。

 

ラストバトルの迫力、スピード感が素晴らしい。でも何より、「玖の型 煉獄」からの迫力ですよねぇ…。息もつかせぬ、結果を知っているのに、それでも「頑張れ!」と思わずにはいられない。
鳩尾を貫かれても、なお首を斬る、鬼を討とうとする執念。
煉獄さんとアカザ、吠えるシーン。正面から比較するように映す表現の熱さといったら。怯むアカザ、決して折れない煉獄さんの対比が素晴らしい。頑張れ煉獄さん!

 

冷徹な結果として。
煉獄さんは負けた。あと一歩のところまで追いつめていたとしても、上弦の参を討てなかった事は事実。そして自分はもうすぐ死ぬ。
煉獄さんの絶望感はいかほどだったろう。座り込んでもしまうだろう。

 

だけど、炭治郎が絶叫して…絶叫してくれて、きっと煉獄さんは救われたんだろうなぁ、と。
自分が頑張った事を認めてくれる、勝ったんだと言ってくれる、…そして、そんな後輩を守る事ができたと知る事ができて。
もう、あの炭治郎の叫びがホントに珠玉。これほどに悔しい叫びが他にあっただろうか。いやない。
零れ落ちる大粒の涙とアカザへの罵倒。悔しさと怒りが胸に突き刺さってくるんですよねぇ…だからこそ、煉獄さんの凄さが分かる。炭治郎達をここまで奮い立たせた煉獄さんへの思いが強くなる。

…そこまでの激しさ、熱さがあるからこそ、「こっちへおいで」と優しく呼びかける姿と声が…もうね、刺さるんです。

炭治郎の気持ちも分かる。煉獄さんが死んでしまう、止められない事実と向き合いながらそれでも抗いたくて…でも、煉獄さんの言葉を聞かなきゃならない。それが煉獄さんの願いだから。最期のチャンスだから。
燃え尽きるその時まで、大切な人達を案じ、後輩たちを叱咤し……信じていると語る漢の熱さ。
煉獄さん本人の演技、描写もさることながら、炭治郎と伊之助の演技が、どれだけ悔しく、悲しく、煉獄さんを思っているか鮮烈に表現していて、更に煉獄さんの魅力が強まるんですよねぇ…。
「煉獄さん、煉獄さん、……煉獄さん…」泣きながら呼びかける炭治郎の姿が、ホントにツボなんです。名前の重複呼びってその人への思い入れの深さを思わせて。


あの朝日の中のシーンは、とにかく悲しく、切なく……だけど美しい。

つくづく、もっと煉獄さんの活躍、見たかったなぁ。
外伝も良かったけど、でも個人的には炭治郎達と一緒に任務に当たったり修行したり…そういうのが…。
泣きそう。


…ある意味、この映画は単体で見ればバッドエンドなんだけど、それでも良かったなって思わせるのは凄く不思議。
悲しくても煉獄さんを知れた、という事は素敵な事だったなぁ…と。

 

 

とりあえず、煉獄さんのモデルが実在する、っていうのが最大の驚き(入場特典より)。
こんな人、実在するん…?!

「ドラえもん のび太の新恐竜」の感想

上手くまとまらないので思いつくまま殴り書きします。

 

何が良いって、双子の恐竜が良い。とにかく可愛い。
藤子先生風にディフォルメされたマスコット的な可愛さ、ももちろんあるんですが、それより何より声が恐ろしく可愛い。
のび太の名付けセンスが光る、その名の通りに双子は「キュー」「ミュー」と鳴きます。この声が凄まじく刺さるのです。高音で甘えてる感じが…いや、正直なところ、媚び過ぎやろと。こんな済んだ声で鳴く恐竜ありうるんかと。恐竜リアリティ的に問題あるんじゃないの?…なんて歪んだ大人の心がツッコミ入れたりしてたんですが。
そんな葛藤どうでもよくなるほどに圧倒的な可愛さでした。はい。
声優さん凄いわぁ…。ホントに言語としては全く意味を持たない音のトーンとイントネーションだけでここまでの表現ができるのだから。

 

で。
もちろん、ストーリーも良い。
どうしても「のび太の恐竜」と重ねて見てしまい、オマージュ、もしくはリメイクになってるんじゃないかなぁ、と色眼鏡を通してしまっていたのですが。
全くの新作でした。そして良いオマージュ(え?)。

 

今、恐竜、そして時代の移り変わりとは何か、を描く意欲作です。
そしてある意味「のび太の恐竜」に対するフォローであり、カウンター。2作を並べてみると似て非なる、いやもとい、それぞれを補完するような内容になっていて実に趣深い。

その分、「のび太の恐竜」を知らないと分かりにくい、説明不足かな、と感じる点があるのは否めませんが(旧作ファンへのサービス、と考えればそれでもいいのだけど)。

 

今作でもちゃんと5人が活躍してるのもポイント高い。
ジャイアンは「映画のジャイアン」として決めるところをバッチリ決めてくれるし、スネ夫も臆病で繊細。大事なキーワードを拾ってくれます。
しずかちゃんは…大事な一言を。

のび太とキューの触れ合いが描いたものは、種を超えた絆であり、そして「そのままの君でいい」と受け入れ、受け止める事の大切さ。
特にキューの秘密(というか設定)が重なってくるあたりは物凄い説得力ですし、シナリオ構成的には「なるほど!」と膝を打つ完成度の高さです。

そして、キューやのび太達が迫る危機を乗り越えようと必死で頑張る姿、これはもう「脚本的にそうなると分かっていても」(分析厨の哀しいサガ)、それでも涙が出てくる熱いものでした。

子供が観ても楽しいし胸に迫るものがある。大人が観れば考えさせられるものがある。素晴らしい映画でした。

 

 

 

 

 

 


以下ネタバレですが。


何が一番泣けるって、追い詰められて死んでしまうような状況になっても飛べなかった(飛ぶことを諦めてしまった)キューが、のび太を救うために飛び上がる、ってとこですよ。
嫌らしい話ですが、「そうならなきゃ面白くない」と思い、予想し、そしてその通りになった結果ではあったのですが、何度も何度も落ちては、それでも飛び上がろうとする必死さに、つい「頑張れ」と応援してしまったのでした。
この迫力は演出の妙でもありますし、やはり声優さんの演技力の賜物かなぁと。

 

更には、まさに「世界の終わり」が迫るあの光景の絶望感。何もかもが燃えて尽きてしまう、という恐怖の中で走り続ける子供達。
ちょっと想像してみたら立ち竦み、あるいは蹲ってしまいそう。実際に熱波に呑まれかけもして…このスリルとカタルシスはアニメと侮れないものがあったのではないでしょうか。

 

個人的にもっとしっかり描写してほしかったのはタイムパトロールの存在でしょうか。
悪役としてのミスリードが必要なので、露骨に描くのが難しかったのだとは思いますが、本来「タイムパトロールは良い人達」であり、「彼らの行いは時代の秩序を守る正しい事なのだ」と説明しておかないと、のび太が行った事がとんでもない事なのだと気づけません。
…もちろん、これまでの大長編ドラえもんを見ていればタイムパトロールが善(少なくとも秩序に属する勢力)である事は分かるのですが。そして同時に「のび太の恐竜」と真逆の構図になっている面白さが分かるのですが。

 

そう。本作はこれまでタブーとされてきた「歴史を変えてはいけない」という鉄則に立ち向かった物語です。
守りたいもののために歴史を、世界を変えてしまう、という物語。

但し、「真正面から立ち向かった」とは言えません。
何故なら、世界は変わらなかったのだから。それこそが正しいと保障された選択として描かれたから。
世界と一つの命を天秤にかける事はしていないのです。

 

…とはいえ。
流石にこのテーマをのび太に背負わせるのは余りに酷です。ミッシングリンクを考慮しないのであれば、白亜紀で恐竜を絶滅させない、という選択は人間という種の誕生・繁栄すら否定するかもしれない可能性があるのですから。
思考実験としては一考の余地がありますが、そんな結末、エンターテインメントとして面白いものでしょうか…?
そう考えると、私はよくできた脚本だと思うのです。

 

ただ、同時に。「ドラえもん」の世界にとんでもない設定を付与してしまった、とも感じています。
つまり、「この世界は、のび太(達)によって作られた」(のび太の存在なしには形成されなかった)という…。

 

のび太がいつか、この事実に気づくことがなければいいな、と願うばかりです。

 


更に余談。

とはいえ。
単純にピー助らしき影が出てきて嬉しかったりするw

ゴブリンスレイヤー、雪山へ

ゴブリンスレイヤー GOBLIN'S CROWN」を観てきました。

原作小説5巻、雪山にゴブリンが出たのでゴブリンを退治する話の映画化です。
おおむね原作通りの脚本になっていますので、原作既読の身としては脚本的な面白さよりもどう動かして見せてくれるのか、ってところに期待して劇場へ。

 

十二分に面白かった。

 

…と言いつつ、気になった点を列挙します。

・尺が短い
上映時間60分。集中力が切れる事無くサクッと観れるというのは事実です。しかし、どうしても説明が足りない、必要な演出がされていない、と感じるところがあります。物足りなさではなく、「そういう判断、行動を何でするの?」とモニョってしまう感じ。原作やアニメ履修済みなら問題ないのですが、単独の作品としてみると…うーん?

 

・前半の戦闘シーンがぎこちない
妖精弓手さんは全編通してよく動くしカッコいい。しかしながら、ゴブスレさん・蜥蜴神官が剣を振る際、腕・上半身だけしか動かないのでちょっと迫力がないように思いました。
但し、後半は迫力・スピード感、そして緊張感も満点(シチュエーション的にそうなるとはいえ)。こういうのでいいんだよ、こういうので(何様か)。

 

・活躍しないキャラがいる
いつもの街を離れての冒険なので、牛飼娘や事務員さんはほぼお休み。これはしょうがないですが、ファンの方からすると残念かなぁ、と。…特に剣の乙女は拗ねまくりだろうなぁw

 

そして何より、
・パンフレット販売がない
誤記のため販売を停止、とのことですが…これは残念過ぎる。上述の通り、説明不足な点はどうしてもあるので、そこを補完する意味でもパンフレットは欲しかったところです。
軽く遠征してきている身の上としては(映画館まで片道1時間半)、改めて買いに来るのもなかなか厳しいもので…。


と、この辺のマイナス点を差し引いて、それでも面白かった。

今回、どちらかというとゴブスレさんの策はあまり功を奏していません(色々アクシデントが多くてw)。その分、アクションで大活躍。
「正面から戦うのは苦手だ」と言っていたのが謙遜に思えるほど、剣士としての存在感を発揮していました。ぶっちゃけ超カッコいい。

 

キャラクター間の掛け合い・意思の疎通もスムーズかつ印象的だったと思います。一党の面々が思っている事、目指しているもの。それらが違和感なくやり取りの中で描き出されていたかと。
特に妖精弓手は実に生き生きと場をまわしてくれました。素晴らしい。…酷い目にもあってるしw

 

個人的に、今作で最も重要…というか、ある意味主役だったんじゃないかなぁ、と思うのが令嬢剣士。単なる救出されるヒロイン、ではなく、彼女の希望と挫折、そして再生が詳細に描かれていました。
特に、彼女が味わった絶望感たるや…。正直、「アニメだからこそ」強烈に感じられたと思います。原作の時点では彼女が現状に陥った顛末については(当たり前ですが)文章で表現されているため、その光景は読者の脳裏で構築されるにすぎません。そのため、「エグさ、えげつなさ」が読者の想像力の範疇に限られています。…つまり、想像を超えるような惨劇が劇場の大スクリーンで容赦なく描かれてしまう(念のためですが、直接的な描写はありません)。
これは、ホントにキツイなぁと…。

 

だからこそ、丁寧に、そしてさりげなく描かれる、不器用なゴブスレさんの救済策や差し伸べられる女神官の手、妖精弓手との衝突と理解、鉱人道士の許容、蜥蜴僧侶の諭し…が彼女を少しずつ癒していくのが、私にとっても救いでした。
是非2期でも再登場、活躍してほしいですねぇ。


そんなわけで、非常に楽しめた1時間でした。
少なくとも原作ファンの方は見て損しない作品だと思いますので、是非。

 

 

 

 

 

 

 


ここからネタバレですが。

・令嬢剣士パーティが瓦解していく様子
・令嬢剣士が襲われる状況(仲間の惨状)
・令嬢剣士が受けたアレコレ(直接的な描写はなし)
・これらのトラウマ表現

この辺をがっつり描いているというのが、実にエグいと思うんですよね。
特に孤立無援の雪中で、ゲスなゴブリンに取り囲まれてパニックに陥る様、これはもう展開を知っている人間ですら恐怖を感じるほどでした。

だからこそ、砦でゴブリンに追われるシーンの緊迫感もありますし、雪原で追い回されるシーンのスピード感、そしてそれを捌くゴブリンスレイヤーの頼もしさが出てくるわけでして(小鬼聖騎士と一対一で渡り合う姿、ホントにかっこいい…。)


作品全体を通して描かれている、襲い掛かる不条理や困難を知恵と努力、そして仲間の協力で乗り越えていくカタルシスが描かれていたなぁ、と改めて思うのでした。


ちなみに、ゴブスレさんが鞘を探す姿が大変キュートだったな、とw

「お。こっちじゃまだ『冴えカノ』やってるんだ。どうよ、観に行かね?」

帰省中の先輩(あだ名)の誘いに乗り、「冴えない彼女の育てかた Fine」を観てきました。以下感想。
ネタバレがありますので未鑑賞の方はご注意下さい。

※深崎先生のイラスト以外「全く」原作に触れていない人間の感想です。ご了承ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


夢のようなオタクの理想でした。

どうしても「あー、ハーレムラノベかー」という偏見があるのですが(実際、ハーレム状態だしな! 爆発しろとかなんとか!!)、それがあってもなお。

ギャルゲーじみた(というかそのものの)恋愛模様もそうですが、ずっとずっと仲間達と夢を追い続けられるという未来が余りにも羨ましい。
コミュ障で集団に馴染めない系のオタからすると、あの光景は遠い理想郷なんですよねぇ…。
(鑑賞後、先輩(あだ名)と話した感じからすると、原作を知ってる人はまた別の感慨を抱いたりするのかなぁ、と思ったりしますが)
もしかすると、長すぎるエピローグこそがこの作品の本題だったりしません?

 

とはいえ、恋愛パートも当然のように面白い。…というか、めんどくさい。恵めんどくさいw
倫也を理解しているかと思えば、拒絶したり。本心を隠しながら、理解して、とか。不機嫌を隠しもしないで泣いてしまうとか……いいぞもっとやれ。
正直、客観的に見たらキモオタ全開の倫也の言動を理解して許容するのは無理ゲーだよなぁと思わなくもないしw 流石に自分(達)を置いて他の女の所に駆けつけるのは許せないだろうしねぇ…。
いじけ、それでいて構ってほしいオーラの出し方が絶妙に可愛かった(そしてめんどくさい)。…そもそも独占欲の強い黒髪ショートボブという時点で色々と刺さるわけでして…。

 

上述の「他の女の所に~」ですが、確かに思いを寄せる女子の下に…と見えなくもないのですが、私からすると「応援したい才能や大事な友達のチャンス、そして(オタクとして)拘れるものを見逃せない」というクリエイターのサガが倫也を突き動かしたように感じました。
だからこそ、恋愛感情皆無で倫也は恵を置いて行けたんだと思うんですよねぇ(そして恵は「自分達のサークル・作品」を自分と同一視し、「英梨々・詩羽先輩(の作品)」を選ぶのか、と問うわけですね。あぁめんどくさいw)。
オタクのめんどくささと女子のめんどくささが上手く絡み合ってたと思います。


ちなみに本作で一番驚いたのは。
「…えっ? 君ら(倫也・恵)付き合ってないの? 周囲も付き合ってる認識ないの??」
いきなり通い妻みたいな事してましたよ? 夜通しskipeしてましたよ? 部屋着見せながら。
名前呼びの甘酸っぱさを感じる前に混乱しましたわ、ホント(そして「当たり前じゃん?」と語った先輩(あだ名)。そうなのか…そういう作品なのか…)。
そういうわけで詩羽先輩の覚悟、号泣する英梨々の姿に「えっ? えっ?」なんて戸惑う始末。あの様子で二人が付き合ってないと思うものなのか…えぇー…?

 

そう思いながらも英梨々の涙、倫也・恵との交錯は何とも…切なかった。
甘い、という感情もあるけれど、どうにもならない心の葛藤がもどかしいというか何というか。
サービスシーンということもあって、実に見ごたえがありました(えー

リアクション・表情が豊かで可愛いし、いいですよねぇ。幼馴染属性ゆえのハンデがあるような感じが残念…。

 

総じて、詩羽先輩が大人のスタンスだった事もあり、倫也との絡みが少なくて損してたかなぁ、という印象。
英梨々との会話は負け組(言い方として正しいかどうかはともかく)として凄く趣深いんですけどねぇ…。

但し、最後にホンットおいしいとこ持ってったので、結果としてプラマイプラス。ショートなのも素晴らしい。


あと、個人的に、出海ちゃんがツボ。
先輩達への絡み方とかルックスが可愛い。胸大きい。
エピローグの美智留ちゃんも可愛いですなー。ぶっちゃけ倫也も可愛い(ひどい)。恵に弄ばれてる辺り、ヒロインと言ってもよいのでは?
(そもそもキャラデの時点でビジュアルが好みなんだから言及するとこなくないか…?)
余談ですが、ダメ男モードの伊織はひっじょーに魅力的でしたねぇ…。「あの」ダメ男達で腐妄想とか捗ったりする人いるのではぁ…?

 

まとめ。

全般として、ビジュアルは美しく、演出も(オタ的に)刺さる。
シナリオも色々めんどくさく、可愛くて非常によろしい。
原作未見の私が観ても十分に楽しめる良作でした。原作に触れてる方は是非是非(今更言うてもなー)

 

P.S.英梨々と詩羽先輩、もう結婚しちゃえよ。
腹黒クールとツンデレチョロツイテとか、そもそも美味しいし、いがみ合いながらお互いを認め合ってるとか…同じ痛みを共有してるとか…。いや、後ろ向きだけどそれはそれで!

「えー? 大人が観ても面白い? またまたそんな事あらへんがなー」

 

「ホンマや」


妹や姪っ子らにお誘いいただいて「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」を観てきました。

最近お子様たちの間で「すみっコぐらし」が流行っているんですよね。誕生日に「すみっコぐらし」のグッズをあげたりなんだり…。
個人的にも見た目に反して子供だましじゃないストーリー、演出がなされているという噂を聞いて好奇心を刺激されていたのです。

 

で。
こちらの映画ですが、ざっくりいうと可愛くディフォルメされたキャラクター(ゆるキャラ?)・「すみっコ」達が、不思議な絵本の世界に迷い込んで(取り込まれて)その世界で冒険をする、という話。

 

なんだかんだで人気のある作品。
コロコロしたキャラクター達がスクリーンで動き回るだけでホント可愛い。
更に作画のタッチが原作のニュアンスを見事に再現しており、違和感なく癒されます。しかも、劇場版で描かれる絵本のようにも思える背景が、精巧に書き込まれ童話の世界観を感じさせる説得力のある景色になっているのがすごい。和風の山や川、西洋の街並み、アラビアの夜…ホント「それっぽい」。
ディフォルメや可愛さに逃げる事無く、真剣に物語の世界を描こうとしている所に職人芸や魂を感じます。

 

子供は可愛いキャラが動き回ってるだけで楽しいものですが、大人が観ても…というかある程度年齢を重ねた人じゃないと分からないような小ネタが仕込まれているのもにくい。
なんでタピオカが(ネタバレなので省略)。

 

あと、「すみっコ」達が基本的にしゃべらない(しゃべったとしても声優さんのセリフではなく、書き文字でのセリフ)のも全体の雰囲気構成に大きく影響しています。
声優さんの声質・演技によるフィルターがかからず、観ている人間の印象・イメージだけが声を作ります。


そして何より、脚本と演出がホンットに素晴らしい。
「すみっコ」達の個性を殺さないよう、最大限に生かせるように物語を組み立てつつ、
子供だましじゃない、それでいて多くの人が知っている童話をモチーフにする事で話を分かりやすく、原作との違いを笑いに変えているのが実に上手い。
更には、事前に「ちょっとこの映画が凄い」と聞いていたのに、それでも号泣してしまうクライマックスの盛り上がりですよ。
友情だとか寂しさだとか、別れだとか。
あのゆるい面々がこんなに一生懸命に「仲間のために頑張ってるゆるい彼らが彼らなりに悩んで、努力して、そして仲間のために頑張ってる」というのが素直に心に響きます。ある程度展開は読めてたんですけどねぇ…それでもハンカチで涙を拭ってしまうほどに胸を打ちました。いやぁ…本当に「ひよこ」の正体が分かってからの展開が熱いのなんの。
エンディングで流れる主題歌がまた優しくて、涙を誘います(こらえましたが)。


上映時間80分、シンプルでとっつきやすいキャラクターと雰囲気。それでいてしっかりと面白く、そして泣ける物語を味わえるという素晴らしい作品でした。
老若男女問わず、おすすめの一本です。


ただ、脚本の方の所属を見てクソゲーの気配を感じてしまい、個人的な偏りを自覚するというか…(苦笑

ひたすら可哀想。

今更「JOKER」観てきました。
中毒性とか周回率が高いということなので、何となく。あと、色々私生活でストレス溜まりまくってるので(?)。

 

事前情報はなし…とはいえ、あらすじというか「どういう作品であるか」は言わずもがな。むしろ全く何も知らずに観る人の方が少ないんじゃないでしょうか。
つまりは「バットマン」(ダークナイト)のヴィラン(悪役)である「ジョーカー」の誕生秘話、前日譚ですから、たどり着く結末は分かっているわけです。
ちなみに、私はバットマンシリーズ全くの未見。それどころかDC作品すら、まったく(幼少期にスーパーマンを観たかもしれない)。
そんなわけなので、世界観というか細かいギミックや小ネタは気づかず(気づけず)に観たことをご了承ください。

 

感想としましては。

 

もう一度観たいかと問われれば、「うーん…」って感じ。

 

いや、決してつまらないわけじゃない。むしろ2時間がっつり引き込まれてました。面白い、とはとても言えないけど、名作だとは思う。好きか嫌いかで問われれば、好き。
でも、あのアーサーのどうしようもなく切ない笑顔をもう一度見たくはない、かなという回答をせざるを得ないんですよねぇ…。

 

 

以下ネタバレあり。

 

 

 

 

中毒性がある、と評されるのも何となくわかります。
これでもかとばかりに虐げられる主人公・アーサーがガツン、ガツン、と衝撃的に「やり返す」シーン、そして「ジョーカー」としての覚醒にはカタルシスがあります。
反撃・リベンジ、やられたらやり返す…いつまでも弱いままじゃない、ひっくり返してやる…そんな解放感。
実際、アーサーを傷つけたものは悉く命を落としてますし(あ、いや、あいつらが以下略)。
いわばこれは、いじめられっ子が何かしら特別な力を手に入れていじめっ子に反撃する構図、ヒーローものの定番と同じです。ただ、解放する方向性が真逆(倫理に悖るか否か)ってだけ。

 

それを否定するわけではないのですが、これがあくまでも「JOKER」だから受け入れられるんだろうなぁ、と。
全くバックボーンがない、「主人公が悪堕ちしますよ」と明言されていない作品であったなら、賛否両論沸き起こっていたでしょう。…いや、別にそれはそれで…うーん。

 

ホントにもう、見てるのが辛かった。ただでさえ陰鬱な風景の中、(精神的にも、物理的にも)殴られ、踏みつけられ、誰にも顧みられず、打ちひしがれていくアーサー。そんな彼がそれでも笑っているのがどうしようもなく辛かった。例え目に見える笑いが障害のせいだとしても、彼の心と行いは間違いなく(自分だけに限らず)笑顔を求めていたというのに。
願っても願ってもそれが叶わない、立ち上がっても殴りつけ叩きつけられる。その繰り返しがどれほど彼の心をへし折る事か。
誰も、何も、彼に優しくしてくれない。ただの一つも支えになるものがない…。
メタな観客視点としましては、彼が悪のカリスマになる事はもはやわかっていますので、「もういい。もう十分にアーサーは絶望した。だから早くジョーカーになってくれ…」と胃が痛くなる思いでした。

 

それでも容赦なく、「あの世界」は彼の存在、居場所、未来を打ち砕きにきたわけですが。

 

私は(本作の)「ジョーカー」を悪と言い切れません。
行為と思想を認めるわけにはいかないけれど、彼の痛みと苦しみと悲しみ、そしてそれが裏返った怒りをどうして間違っていると否定できるでしょうか。いったいどれだけの人が彼と同じ境遇にあった時、自分は引き金を引かないと言い切れるでしょうか。

また、ジョーカーは狂気の人ではありません。何故なら害するべき人、ものを選んでいるから。恐怖と殺意に溢れた場ですら、ただ一人優しかったゲイリーを見逃した彼には良心があったと思うのです(それこそが「普通に考えたらあり得ない」狂気かもしれませんが)。
彼の凶行は全て、どうしようもないやるせなさと怒りに突き動かされてるように見えました。


脚本・キャラクターから別の点をみますと。
とにかくホアキン・フェニックスの演技が秀逸。
人生にくたびれた中年男の表情、顔付きが、初見の時点で切ない。皺、ぼさぼさの髪、疲れ切った目。
それでも笑顔を作り、おどけて見せる振る舞いの悉くに不器用さが滲み出ていて痛々しいったら。
それでいて折々に見せる怪しい動きやダンスが精神の不安定さを覗かせ、不気味さを感じさせます。

 

個人的にはライブハウスのステージが最高にきつかった。
頑張っているのにどうしても上手くいかないもどかしさ。笑いながら苦しんでいる姿が本当にきつく、生き地獄、という単語が脳裏をよぎります。そして…。

(余談:ライブハウスのオーナーはネタを見もしないでステージに上げちゃうの? だったらマレーのツッコミは正しいわー)

 

もちろんロバート・デ・ニーロもうまかったと思いますが、とにかくアーサー=ホアキン・フェニックスが全部持っていきましたねぇ(主役だから)。

 

それからゴッサムシティの景色も説得力が高くて素晴らしい。「ジョーカー」が生まれ得る理由を訴えてくるようです。
至る所にゴミの山、落書き、崩れそうな壁…。10数年後にはバットモービルが走り回る街とはとても思えませんw
住人たちは皆息苦しそうで陰鬱、聞こえてくるのは嘲笑ばかり。…笑い声はブラウン管の向こうだけ。
だからこそ、アーサーはコメディアンを夢見たのかもしれない、な、なんて。


そんなこんなで「JOKER」。
どこかの誰かが「誰もがジョーカーになりうる」という評をされていましたが、なるほど確かにと頷いている私がいます(カリスマにはなれないだろうけど)。
「あぁ面白かった」「つまらなかった」だけでなく、何か自分の胸に手を当てて思うものがあるような、そんな感じ。

そしてふと思った事は、「私はジョーカーになりたくない、誰かをジョーカーにしたくないと思うのなら、たった一つの支えを得て、最初の一つの支えになれればいいのだよな」と。

べ、別にフットワーク軽いわけじゃないんだからね!

まるまるさんから「明日、この展示会に行くんですよ」と「マツオヒロミ展」の話題を振られ、「へー。どんなんですか」と返したのが11日の夜(日付変更間近)。
15日11:20に新見美術館に辿り着きました。

 

正直に申しまして、マツオヒロミ先生の事は全く存じておらず、話題に上って初めてお名前と代表作を目にしたわけなのですが…それから4日後には作品を目の前に。
いやぁ、場の雰囲気というか話の流れというのは恐ろしいものだなぁ…。ヒキコモリが列車と新幹線を乗り継ぎ、人様の予定まで巻き込んで(色々お世話になりました。感謝しかない…)、遠征しちゃうんだから。

 

この暴走の理由の一つには、日々のアレコレからの逃避があるのですが、それよりマツオヒロミ先生の絵がツボったのが大きい。さらに展示会が16日までという事もあり、「今しかない!」が背中を押しましたね。


このご時世、作品を見る事はそんなに難しくない。画像検索でもすればものの数秒で事は済んだりする―のですが。私は実物を見る、一つのテーマで構成された作品群に触れる事が強烈に響くって知ってしまっているので。

 

さて、美術館に入り周囲を見回すと、横になってる女性の絵がドーンと。

 

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エントランス

構図、衣装、そして表情。はっきり言ってエ…もとい、色っぽい絵がタペストリーとしてこの大きさ・迫力で見れるというのは、抗いがたい威力です。高まる期待。

展示作品は全て撮影可能という形式だったので、そりゃあ撮影しまくります。大判のポスター大で見れる色使い、線…これが手元に残る!!
……のですが、数枚スマホで撮影すると「いかに上手くカメラに収めるか」「照り返しが無いよう撮影するか」に腐心するのが面倒、というか時間の無駄に思えてきて(苦笑 人間、楽しい事、熱中してる事をやってる時に他の作業はしたくないものです。
今思えば、じっくり全ての作品を鑑賞し、その後戻りながら撮影をすればよかったのかなぁ、と…いやでもそういう作業感はあんまりなぁ…(ぶつぶつ)。


それはともかく。

どの作品、どの女性も、「綺麗」と「可愛い」が絶妙に両立していて実に見ごたえがありました。
和服・洋装、いずれも美しく、ファッションに無縁な人間から見ても魅力的。もちろん、分かる人にはそのデザイン・コーディネートの妙・凄さが凄くツボらしいです。

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背景も美しい

背景も構図・配色が素晴らしく、人物に見とれながらも不意にハッとさせられる空間に気づいたり。架空の百貨店の催し、商品展示をテーマにした連作は物語や行き交う人々の息遣いを感じられるようです。

そして何より表情が良いというか、指先の曲線が艶めかしい。彼女たちが触れているもの、触れようとしているものが悉く意味深です。線がいいんですよねぇ…。
そう、鮮やかな水彩風の色彩に満ちたフルカラーイラストが良いのは当然として、そのラフ(スケッチ)も展示されているのですが、これがまた良いのです。
立ち姿の線、着物の皺の寄り方、表情…モノクロですら魅力的。

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線の時点で魅入る

…そんな感じで鑑賞していると…恐ろしい事に、「良さ」「すばらしさ」に慣れてきてました。多分。自覚はありませんでしたが。
しかし、不意に、「珍しいですよね。人物が全部構図内に入ってないんですよ」と。一緒に見ていたまるまるさんが言いました。

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目が離せない

あぁ、なるほど! 確かに幾つか人物の頭頂部が画面の外に出ている作品があるのです。人物の全身を画面内に収める、というのが基本だと思っているのですが…それをあえて外している。何となく不安感を誘ったり、謎めいて見えてるんだなぁ…。

そこで改めて新たな刺激を受け、違う視点で作品を見れるようになったのでした。うーん、美術展って誰かと来るとこんな発見というか気づきがあるんだなぁ…なるほどなるほど(コミュ障ならではの気づき)。

 

一番のお気に入りは…非常に難しいですが、「片手袋の娘」。

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何とも言えない…


表情と衣装の色っぽさがツボに刺さる刺さる。エロス、とは言い切れないけど目が離せない絶妙な「思わせぶり」があります。

 

というわけで。すべての作品を観終わった後、当然のようにイラスト集と同人誌を購入させていただきました。あぁ、手元でまた観れる嬉しさよ…。

 

いやもう、ほんと充実した1時間半でした。感嘆するやら驚くやら。思い切って来てみて良かったなぁ。話題を振ってくれたまるまるさんには感謝あるのみです。そして振り回してすいません(重ね重ね)。
ていうか、何で知らんかったかなぁ…マツオヒロミ先生。

仄かに、こんな絵が描けたらなぁ、と思いつつ、新たな作品や展示を楽しみにしております。