Ceramic moon Plastic stars

大体漫画とかアニメの感想を書いてます。こう、妄想が溢れそうになった時の受け皿としても活用。

「えー? 大人が観ても面白い? またまたそんな事あらへんがなー」

 

「ホンマや」


妹や姪っ子らにお誘いいただいて「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」を観てきました。

最近お子様たちの間で「すみっコぐらし」が流行っているんですよね。誕生日に「すみっコぐらし」のグッズをあげたりなんだり…。
個人的にも見た目に反して子供だましじゃないストーリー、演出がなされているという噂を聞いて好奇心を刺激されていたのです。

 

で。
こちらの映画ですが、ざっくりいうと可愛くディフォルメされたキャラクター(ゆるキャラ?)・「すみっコ」達が、不思議な絵本の世界に迷い込んで(取り込まれて)その世界で冒険をする、という話。

 

なんだかんだで人気のある作品。
コロコロしたキャラクター達がスクリーンで動き回るだけでホント可愛い。
更に作画のタッチが原作のニュアンスを見事に再現しており、違和感なく癒されます。しかも、劇場版で描かれる絵本のようにも思える背景が、精巧に書き込まれ童話の世界観を感じさせる説得力のある景色になっているのがすごい。和風の山や川、西洋の街並み、アラビアの夜…ホント「それっぽい」。
ディフォルメや可愛さに逃げる事無く、真剣に物語の世界を描こうとしている所に職人芸や魂を感じます。

 

子供は可愛いキャラが動き回ってるだけで楽しいものですが、大人が観ても…というかある程度年齢を重ねた人じゃないと分からないような小ネタが仕込まれているのもにくい。
なんでタピオカが(ネタバレなので省略)。

 

あと、「すみっコ」達が基本的にしゃべらない(しゃべったとしても声優さんのセリフではなく、書き文字でのセリフ)のも全体の雰囲気構成に大きく影響しています。
声優さんの声質・演技によるフィルターがかからず、観ている人間の印象・イメージだけが声を作ります。


そして何より、脚本と演出がホンットに素晴らしい。
「すみっコ」達の個性を殺さないよう、最大限に生かせるように物語を組み立てつつ、
子供だましじゃない、それでいて多くの人が知っている童話をモチーフにする事で話を分かりやすく、原作との違いを笑いに変えているのが実に上手い。
更には、事前に「ちょっとこの映画が凄い」と聞いていたのに、それでも号泣してしまうクライマックスの盛り上がりですよ。
友情だとか寂しさだとか、別れだとか。
あのゆるい面々がこんなに一生懸命に「仲間のために頑張ってるゆるい彼らが彼らなりに悩んで、努力して、そして仲間のために頑張ってる」というのが素直に心に響きます。ある程度展開は読めてたんですけどねぇ…それでもハンカチで涙を拭ってしまうほどに胸を打ちました。いやぁ…本当に「ひよこ」の正体が分かってからの展開が熱いのなんの。
エンディングで流れる主題歌がまた優しくて、涙を誘います(こらえましたが)。


上映時間80分、シンプルでとっつきやすいキャラクターと雰囲気。それでいてしっかりと面白く、そして泣ける物語を味わえるという素晴らしい作品でした。
老若男女問わず、おすすめの一本です。


ただ、脚本の方の所属を見てクソゲーの気配を感じてしまい、個人的な偏りを自覚するというか…(苦笑