べ、別にフットワーク軽いわけじゃないんだからね!
まるまるさんから「明日、この展示会に行くんですよ」と「マツオヒロミ展」の話題を振られ、「へー。どんなんですか」と返したのが11日の夜(日付変更間近)。
15日11:20に新見美術館に辿り着きました。
正直に申しまして、マツオヒロミ先生の事は全く存じておらず、話題に上って初めてお名前と代表作を目にしたわけなのですが…それから4日後には作品を目の前に。
いやぁ、場の雰囲気というか話の流れというのは恐ろしいものだなぁ…。ヒキコモリが列車と新幹線を乗り継ぎ、人様の予定まで巻き込んで(色々お世話になりました。感謝しかない…)、遠征しちゃうんだから。
この暴走の理由の一つには、日々のアレコレからの逃避があるのですが、それよりマツオヒロミ先生の絵がツボったのが大きい。さらに展示会が16日までという事もあり、「今しかない!」が背中を押しましたね。
このご時世、作品を見る事はそんなに難しくない。画像検索でもすればものの数秒で事は済んだりする―のですが。私は実物を見る、一つのテーマで構成された作品群に触れる事が強烈に響くって知ってしまっているので。
さて、美術館に入り周囲を見回すと、横になってる女性の絵がドーンと。
構図、衣装、そして表情。はっきり言ってエ…もとい、色っぽい絵がタペストリーとしてこの大きさ・迫力で見れるというのは、抗いがたい威力です。高まる期待。
展示作品は全て撮影可能という形式だったので、そりゃあ撮影しまくります。大判のポスター大で見れる色使い、線…これが手元に残る!!
……のですが、数枚スマホで撮影すると「いかに上手くカメラに収めるか」「照り返しが無いよう撮影するか」に腐心するのが面倒、というか時間の無駄に思えてきて(苦笑 人間、楽しい事、熱中してる事をやってる時に他の作業はしたくないものです。
今思えば、じっくり全ての作品を鑑賞し、その後戻りながら撮影をすればよかったのかなぁ、と…いやでもそういう作業感はあんまりなぁ…(ぶつぶつ)。
それはともかく。
どの作品、どの女性も、「綺麗」と「可愛い」が絶妙に両立していて実に見ごたえがありました。
和服・洋装、いずれも美しく、ファッションに無縁な人間から見ても魅力的。もちろん、分かる人にはそのデザイン・コーディネートの妙・凄さが凄くツボらしいです。
背景も構図・配色が素晴らしく、人物に見とれながらも不意にハッとさせられる空間に気づいたり。架空の百貨店の催し、商品展示をテーマにした連作は物語や行き交う人々の息遣いを感じられるようです。
そして何より表情が良いというか、指先の曲線が艶めかしい。彼女たちが触れているもの、触れようとしているものが悉く意味深です。線がいいんですよねぇ…。
そう、鮮やかな水彩風の色彩に満ちたフルカラーイラストが良いのは当然として、そのラフ(スケッチ)も展示されているのですが、これがまた良いのです。
立ち姿の線、着物の皺の寄り方、表情…モノクロですら魅力的。
…そんな感じで鑑賞していると…恐ろしい事に、「良さ」「すばらしさ」に慣れてきてました。多分。自覚はありませんでしたが。
しかし、不意に、「珍しいですよね。人物が全部構図内に入ってないんですよ」と。一緒に見ていたまるまるさんが言いました。
あぁ、なるほど! 確かに幾つか人物の頭頂部が画面の外に出ている作品があるのです。人物の全身を画面内に収める、というのが基本だと思っているのですが…それをあえて外している。何となく不安感を誘ったり、謎めいて見えてるんだなぁ…。
そこで改めて新たな刺激を受け、違う視点で作品を見れるようになったのでした。うーん、美術展って誰かと来るとこんな発見というか気づきがあるんだなぁ…なるほどなるほど(コミュ障ならではの気づき)。
一番のお気に入りは…非常に難しいですが、「片手袋の娘」。
表情と衣装の色っぽさがツボに刺さる刺さる。エロス、とは言い切れないけど目が離せない絶妙な「思わせぶり」があります。
というわけで。すべての作品を観終わった後、当然のようにイラスト集と同人誌を購入させていただきました。あぁ、手元でまた観れる嬉しさよ…。
いやもう、ほんと充実した1時間半でした。感嘆するやら驚くやら。思い切って来てみて良かったなぁ。話題を振ってくれたまるまるさんには感謝あるのみです。そして振り回してすいません(重ね重ね)。
ていうか、何で知らんかったかなぁ…マツオヒロミ先生。
仄かに、こんな絵が描けたらなぁ、と思いつつ、新たな作品や展示を楽しみにしております。