Ceramic moon Plastic stars

大体漫画とかアニメの感想を書いてます。こう、妄想が溢れそうになった時の受け皿としても活用。

「ドラえもん のび太の宝島」が良過ぎたという話

いい歳こいてドラえもんの映画を観に行ったわけですが、姪っ子達にせがまれて仕方なくですね、というポーズを作ったりなんだり。いや、ホントに連れて行ってるんですよ、2人も。…カムフラージュの心づもりがないかというと嘘になるけれども。

それはさておき、映画ですが。

最高に面白かった…! 久々にもう一回観たいレベル…!!

(下記ネタバレです。映画を見るつもりの人は絶対に読まないでください)

 

 

 

何が面白いって、大人が観ると色々染みるんですよ…。…これは後述するとして。

まず、とにかくテンポがいいのです。
ポンポン見せ場が変わり、かつ必要なシーンはちゃんと描く。アクションが続くシーンにも適宜カメラを変えて(別キャラ視点など)メリハリもつけてます。だからずっと楽しい。
逆に言うと、かなり説明や演出が端折られているのは事実。
例えば、シルバーの動機については人類の破滅の過程に関する描写がなく(それを回避するにはどうするか、の描写もない)、道具の機能説明もほとんどありません。
しかし、これらの描写に尺を割くくらいならばオミットし、ドラえもん達の冒険と交流を描いた方が面白いし有益ですから問題なし。破滅云々の暗い話よりも親子の葛藤と和解がテーマなわけですし、道具の機能は言葉で語らず楽しく便利に使っているシーンを描写する事で逆に説得力を生んでいると言えるでしょう。
ただ、帆船の云々については説明した方がよかったかなぁ。風を受けて進む事、そのために多くの人間で帆を動かさなきゃならない事…など。
この予備知識がないと、嵐と座礁という海洋冒険の定番のスリルが子供達に伝わらないんじゃないかなぁ、と。折角の緊迫シーンが子供たちに正しく受け止められたか(ハラハラされたか)ちょっと心配です。

ともあれ、起承転結がキッチリしてる上に、予想外の展開ばかりでホントに飽きる暇がありません。

また、登場人物が全て活躍しているのも素晴らしい。
ジャイアンスネ夫の活躍っぷりたるや!
当たり前ではあるのですが、ジャイアンは今回も男っぷりを見せてくれます。ここにスネ夫も加わって熱い展開が繰り広げられるわけですが、小さな伏線を引いてたりして唸らされます。その上で一ひねりしたやり方が実に…いい。感心します。
のび太も「男の子」していて、これでこそ主人公!って感じです。
意気地なしのダメな子だけど、いざという時、誰かのピンチには踏み切れる。そんなシーンが幾つもあって、これでこそ「ドラえもん」!

敵(?)側も良いキャラばかりで中々よろしい。
個人的には海賊女房のビビさんが実にカッコいいというか…。あの気風の良さもさることながら、空気砲が初めて凌がれた(効かない、ではない)シーンは本気で凄いと思いましたねぇ。

それからちょっと上述していますが、道具の使い方・見せ方がホントに上手い。
そもそもひみつ道具はその機能だけで一つの状況を作れてしまうわけですが、それを更に別の使い方、伏線にする事が多く、「おぉ…」と感心する事しきり。
特に「風神うちわ」は…! 男の子のロマンを煽りまくるというか、「おおおおお…! これだよこれ! こういうのだよ!!」と一人熱くなるおっさんです。
いやもう、あの辺は(作中キャラは)サラッと流してますが、オタクのおっさんから見るともうテンション上がりまくりですよ。
絶対的ピンチのシーンに単なるご都合主義じゃなく!
退場したかと思ってたキャラが!
「まさかこんな手で」!
しかも描写が熱い!!

これはホント実際に見てほしい一コマです。

で。
そんな感じでエンタメとしてすでに最高なのに。
更に脚本が泣かせにくるんですよ。

ぶっちゃけ、いい歳した大人だからこそ染みる、子供にはどうしても分からない点だと思うのですが。

とにかく、ラスボスであるシルバーの心情が分かり過ぎて、もう辛い。
これを言葉ではなく印象的なシーンの描写だけで伝えてくるもんだから、こっちは勝手に色々感極まっちゃって泣けてくる泣けてくる。
不器用で、でもそうしなければならなかった男の切なさと一途さがたまりません。
これが「悪い大人」ではなく、「子供を分かってくれない大人」として描かれてしまうのがこれまた切ない所ですが、シルバーに子供達の分かってもらおうとするシンプルなのび太の言葉がまた染みる…。
…どうかなぁ、自分が子供の頃、こんなにまで親に分かってもらおうとしてたかなぁ…。

更に更に。
シルバーの声が素晴らしいのですよ。いや、大泉 洋が好きだから、ってのは否定しませんが。
朴訥で本当は優しい、でもだからこそ非情にならざるを得なかった、その悲哀と苦悩がにじみ出てるんですよ…マジでイケおじ。
少々俗な言い方になりますが、白髪三白眼で影を背負った40過ぎの男(しかもイケボ)って時点でお好きな女性は多いんじゃないですかねぇ。私は好きです(野郎ですが)。

いやもう、全部全部込みでホントに面白かったし泣けたし良かった。
もはや子供向けじゃない…いやむしろ、「行間で語る」部分が多いので子供では完全に楽しめないんじゃないかな、と思ったりもしますが。
ホントに大人も見るべき作品です。特にお子さんがいる方は。絶対損しないと思います。


しずかちゃんの攫われっぷり、エロいなぁ、とか思ってましたけども(ゲスい)